J-POPという言葉はラジオ放送局J-WAVEから1988年末に誕生した造語である[2]。この名称はマスメディア上のカテゴリーのひとつとして誕生し、それにふさわしい音楽を売り手側が分類しているという点において、グラム・パンク・グランジ・ヒップホップなどといった他の音楽ジャンルと異なる、大きな特徴といえる。そのため、1988年以降の日本において、J-POPと呼ばれるジャンルの楽曲が突然出てきたのではなく、脈々と流れていた日本音楽の歴史の中である日を境にそれまで「歌謡曲」ないし「流行歌」などと呼ばれていた楽曲を「J-POP」と呼ぶようになった、という認識が正しいと言える[3]。
J-POPという言葉が誕生した1988年当時、この言葉を使用していたのは輸入盤CDなどを取り扱う店舗において、邦楽曲コーナーを設ける場合ぐらいであり、一般に普及しているとはいい難い状況であり、一般に使用され、定着するようになるのは1993年から1996年ごろにかけてであり、暫くの歳月を要した。
1982年に登場したコンパクトディスク、およびその再生装置の爆発的な普及により、音楽市場が一気に拡大し、売り上げは右肩上がりを続け、1991年に初の2000億円台、1992年に3000億円と、1998年の6074億9400万円まで、史上最高を更新し続けた。生産量も1991年に3億枚を突破するなど、成長を続ける中で、個人としても1977年に阿久悠が記録した1172万9000枚の売り上げ記録を、1993年にZARDの『負けないで』の作曲などで知られる織田哲郎が16年ぶりに更新した。
J-POPという言葉はこの頃からようやく一般の雑誌などでも見かけるようになり[4][5]、一般庶民にもそれらの媒体を通して徐々に浸透していった。
CDをはじめとしたデジタル技術は音楽制作現場においても革変をもたらした。デジタル技術による音楽制作は人・時間・予算の大幅な削減を可能にし、楽曲の大量生産が可能となった[6]。また、シーケンサーやサンプリング・シンセサイザー、MIDIなどの技術により、楽器を実際に弾く事無く楽曲を作成する事も可能となり、その技術にいち早く注目し、実際に成功を収めたミュージシャンとして小室哲哉がいる。また、制作環境のデジタル化に伴い、それまで製作現場で実際に楽器を演奏していたスタジオミュージシャンの仕事が激減するなどの弊害も生まれている。こうした制作環境の変化に伴う大量生産による音楽制作は確かにミリオンヒットが出現する確率は高まるが、没個性化・質の低下が進み、音楽が消耗品として見られるようになるなど、批判の声もある[7]。ソニー・ミュージックエンタテインメント(当時)の坂本通夫は、1991年を音楽業界の転換点として「音楽が作品から商品に移り変わった時」と語っている。
そして1992年ごろから「ミリオンヒット」という現象が続発するという事象が発生しはじめ[8]、1994年にはその数は18枚を記録した。また、トップ10のアーティストだけで年間売り上げシェアの4割を占めるなど、先の楽曲の大量生産と相まって、一握りの成功者と、その他という図式が出来上がるようになった。
90年代の日本の音楽史を語る上で重要なキーワードとしてKDDというものがある[9]。カラオケ(K)、ドラマ(D)、大幸システム(D)の頭文字を取ったもので、ヒット曲を生み出すための要素とされた。特に長戸大幸の考え出した広告会社や企業と直接提携し、作品を制作するシステムは、市場において圧倒的な強さを誇り、1993年には長戸の会社ビーイング所属のアーティスト(ビーイング系)が売り上げ1位、2位、4位、5位を占めた[10]。
(出典:wikipedia)
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